C++はなぜ生まれたのか?──C言語の限界とオブジェクト指向の融合から始まった進化の物語

リュザ  C++主任専門官

C++が生まれた理由は、C言語だけでは大規模開発の複雑性に対応しきれなかったからC++が生まれたからです。

目次

はじめに:C++の誕生は偶然ではない

C++は1983年、AT&Tベル研究所のビャーネ・ストラウストラップによって生み出されたプログラミング言語です。その名の通り、C言語に「++(インクリメント)」を加えた進化形であり、単なるC言語の拡張ではなく、ソフトウェア開発の未来を見据えた設計思想の結晶でした。

では、なぜC++は必要とされたのでしょうか?

その背景には、当時のソフトウェア開発が直面していた「複雑性の爆発」と「効率性のジレンマ」がありました。

リュザ  C++主任専門官

要するに、C言語は効率的で強力だったものの、大規模開発では保守性や再利用性に課題があった。そこでビャーネ・ストラウストラップは、Cの性能を維持しつつオブジェクト指向の概念を取り入れた「C++」を生み出したのです。

背景:C言語の強みと限界

1970年代後半、C言語はUNIXの開発を通じて広く普及し、ハードウェアに近い制御が可能な高速言語として重宝されていました。しかし、C言語は「構造化プログラミング」を前提としており、関数とデータが分離されていたため、大規模なソフトウェアでは次第に保守性や再利用性に課題が生じていきます。

その結果、複雑なシステムではコードが絡み合い、いわゆるスパゲッティ化を引き起こしやすくなりました。さらに、データの隠蔽や抽象化を十分に行うことが難しく、設計の柔軟性や安全性を確保するのが困難でした。加えて、チーム開発においては設計の一貫性を維持することが難しく、プロジェクトが大規模化するほど管理や拡張に大きな負担がかかるという問題が顕在化していたのです。

誕生の動機:SimulaとCの融合

ストラウストラップは、当時の研究で「Simula」というオブジェクト指向言語に出会います。Simulaはクラスや継承といった概念を持ち、複雑なシステムをモデル化するのに適していましたが、実行速度が遅く、実用には向いていませんでした。

一方、C言語は高速だが抽象化に乏しい。そこで彼は「Cの性能とSimulaの構造化能力を融合できないか?」と考え、C言語にクラス機能を追加した「C with Classes」を開発。これがC++の原型となります。

リュザ  C++主任専門官

要するに、ストラウストラップはSimulaの持つ「クラスや継承による抽象化の力」と、C言語の「高速で効率的な処理能力」を組み合わせることで、両者の長所を兼ね備えた新しい言語を生み出しました。それが、C++と呼ばれることになる。

C++の設計思想:ゼロオーバーヘッドと多様なパラダイム

C++の設計には、明確な哲学が込められています。その中心にあるのが「ゼロオーバーヘッド原則」です。これは、プログラマが使わない機能に対して余計なコストを課さないという考え方であり、効率性を徹底的に追求する姿勢を示しています。さらに、C++は高水準の抽象化を可能にしながらも、低水準の制御を維持できるよう設計されており、抽象化と効率性の両立を実現しました。

加えて、C++は複数のプログラミングパラダイムを共存させる柔軟性を持っています。手続き型、オブジェクト指向、ジェネリックプログラミング、さらには関数型の要素まで取り入れることで、開発者は目的に応じて最適なスタイルを選択できます。この多様性こそが、C++をシステム開発からゲーム、金融、組み込みシステムに至るまで幅広い分野で活用できる言語へと押し上げた大きな要因です。

リュザ  C++主任専門官

要するに、C++の強みは「必要な機能だけを選び取り、余計なオーバーヘッドを生まない」ことです。

名前の由来:「C++」に込められたユーモアと進化の意志

「++」はC言語におけるインクリメント演算子。つまり「C++」は「Cを一歩進めた言語」という意味が込められています。このネーミングには、C言語の精神を尊重しつつも、次の時代を切り開くという開発者の意志がにじんでいます。

まとめ:C++は「必要に迫られて生まれた」言語

C++「複雑なソフトウェアを効率的に、安全に、再利用可能に作るにはどうするか」という問いへの回答です。Cの高速性・低レベル制御を継承しながら、抽象化と設計の力を導入することで、大規模な開発の現実に対応しました。標準は進化を続け(例:C++11以降の型推論・ムーブセマンティクス・並行性の強化)、今日もシステム、金融、ゲーム、組み込みなど幅広い分野で活躍し続けています。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

ITTI運営長 / 元国家公務員ブロガー
国家公務員として5年間従事した後、新たな挑戦のために退職。調べものと学ぶことが止められなくなり、現在は以下の5ブログを運営中:
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