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Javaはなんで作ろうと思ったのか

ナギルド/Java主任専門官

結論、C++のやり方が分かりにくかったからです。  
当時のC++は高性能でしたが、複雑なメモリ管理や環境依存性が大きな壁となり、家電や組み込み機器の開発には不向きでした。そこで「もっとシンプルで安全な言語を」というニーズからJavaが生まれたのです。

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Javaはなんで作ろうと思ったのか

1990年代初頭、Sun Microsystemsの研究チームは「Green Project」と呼ばれる試みを始めました。目的は、当時急速に進化していた家電製品や組み込み機器を制御するための新しいプログラミング言語を作ることでした。炊飯器やテレビ、セットトップボックスなど、異なるCPUやOSを持つ機器を一つの言語で扱えるようにする――これが出発点です。

当時のC++には大きく二つの課題がありました。ひとつは複雑なメモリ管理です。C++では malloc や new を使ってメモリを確保し、freedelete で解放する必要がありました。しかし、解放を忘れると「メモリリーク」が発生し、長時間稼働する家電では致命的な問題となります。逆に二重に解放してしまうとシステムがクラッシュする危険もありました。さらに、ポインタ操作は高度な知識を要求し、誤操作による不正アクセスが起きやすく、安全性の面でも不安が残っていました。

もうひとつは環境依存性の高さです。C++のコードはコンパイル時に機械語へ変換されるため、異なるCPUやOSでは再コンパイルが必要になります。加えて、家電ごとに異なるドライバやOS環境が存在し、同じコードをそのまま利用することはできませんでした。その結果、炊飯器用に書いたプログラムをテレビやセットトップボックスに流用することは難しく、毎回コードを書き直す必要がありました。こうした事情から、移植コストが高く効率性に欠けるという問題が常につきまとっていたのです。

ナギルド/Java主任専門官

量産にも不向きで、「果たしてC++に任せられるのか」という疑問が開発者の間で広がっていました。多様なハードウェアごとにコードを書き直さなければならず、効率性や安全性の面で限界が見えていたのです。

そこで生まれたのが、後に「Java」と呼ばれる言語です。Javaは仮想マシン(JVM)上で動作する仕組みを採用し、プログラムを一度書けばどの環境でも同じように動かせる「Write Once, Run Anywhere(一度書けばどこでも動く)」という思想を掲げました。これは単なる技術的な工夫ではなく、インターネット時代の到来に完全に合致した理念でした。

C++の複雑さを克服

•  自動メモリ管理(ガーベジコレクション)  

C++では開発者が newdelete を使ってメモリを管理する必要がありましたが、Javaはガーベジコレクションによって不要になったオブジェクトを自動的に解放します。これにより、メモリリークや二重解放によるクラッシュを防ぎ、長時間稼働するシステムでも安定性を確保できました。

•  セキュリティ機能(サンドボックス)  

Javaは仮想マシン(JVM)上で動作し、外部からのアクセスを制限する「サンドボックス」環境を備えました。これにより、Webブラウザ上で安全にコードを実行できる仕組みが整い、ネットワーク時代に適した言語となりました。

ナギルド/Java主任専門官

Javaはメモリ管理を自動化してくれるので安心して任せられるし、サンドボックスを設計することで外部からの不正アクセスを大幅に防ぐことができます。もちろん、完全に突破不可能ではありませんが、当時としてはネットワーク時代に適した安全性を提供したのです。

開発者にとって扱いやすい言語

•  C++に似た文法  

既存のC++開発者が学びやすいように文法は似せつつ、複雑なポインタ操作を排除。初心者でも比較的安全にプログラミングできるようになりました。

•  プラットフォーム非依存  

JVMが「通訳」の役割を果たし、Windows・Mac・Linuxなど異なる環境でも同じコードを動かせるようになりました。これが「Write Once, Run Anywhere」の思想です。

ナギルド/Java主任専門官

C++に似た文法を採用したことで、既存のC++開発者は学習コストを抑えながらJavaへ移行しやすくなりました。さらに、JVMによるプラットフォーム非依存性によって、Windows・Mac・Linuxといった異なる環境でも同じコードを動かせる点が大きな強みとなりました。

普及した分野

•  家電制御からの拡張  

当初は炊飯器やテレビなどの組み込み機器を対象にしていましたが、JVMの移植性が評価され、より広い分野へ展開しました。

•  エンタープライズシステム  

金融機関や大企業の基幹システムに採用され、Java EE(現Jakarta EE)が業務システム開発の標準技術となりました。

•  モバイルアプリケーション  

特にAndroidの登場以降、Javaはスマートフォンアプリ開発の中心的な言語となり、世界中の開発者に利用されるようになりました。

ナギルド/Java主任専門官

Javaは世界中で高く評価され、政府や大企業からも信頼される言語となりました。さらに、Androidの登場によってスマートフォンアプリ開発の分野でも中心的な役割を担い、幅広い分野で不可欠な存在へと成長したのです。

ナギルド/Java主任専門官

その結果、C++の課題を教訓にして誕生したJavaは間違いなく歴史に刻まれる存在となりました。

まとめ

Javaは「家電制御」という小さな目的から始まりましたが、C++の複雑さを克服し、インターネット時代のニーズに合致したことで世界標準の言語へと成長しました。  

その思想は「Write Once, Run Anywhere」に凝縮され、セキュリティや自動メモリ管理の仕組みが評価され続けています。家電からエンタープライズ、そしてモバイルアプリ開発へと広がり、Javaは単なる言語ではなく技術文化圏として存在感を放ち続けているのです。


こうしてJavaは、誕生の必然性を超えて現在もなお基幹技術として生き続け、次世代の言語や環境にもその思想を受け継がせています。

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この記事を書いた人

ITTIのアバター ITTI 運営長

私はフロントエンドエンジニアを目指す初心者で、ITパスポートを取得済みです。現在はCopilotを活用しながらAIや最新のIT技術を学び、日本の開発現場で求められるチーム開発やセキュリティの知識を吸収しています。学んだことはコードや仕組みを整理し、わかりやすく発信することで、同じ学びの途中にいる人たちの力になりたいと考えています。

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